「カタールにドローンを持って行って大丈夫?」——旅行前にそう調べる方に向けて、2026年9月29日に発表された新しいドローン規制を整理します。
結論から言うと、今回の発表で公式に確認できたのは「指定エリアで、決められた時間帯にだけ、ライセンスを受けた目的の範囲で飛行できる」という大枠までです。外国人旅行者にも同じルールが適用されるのか、ドローンの持ち込み自体に許可が必要なのかといった、旅行者にとって肝心の部分は、カタール内務省(MoI)・カタール民間航空庁(QCAA)の公式発表では確認できていません。
この記事では、公式発表・政府機関のページ・現地報道をもとに、「わかっていること」と「現時点では公式情報で確認できていないこと」を分けて解説します。情報の取得日は2026年9月30日です。
まず知っておきたいこと(結論)
- 発表:カタール内務省が、民間航空庁などと連携し、ドローン(無人航空機)を「指定エリア」で飛行させることを認めると発表。2026年9月29日(火)から有効と報じられています
- 飛行できる時間帯:1日2回、「日の出から午前9時まで」と「午後2時から日没まで」
- 指定エリア:Metrash(メトラッシュ)アプリで確認できるとされています
- 条件:指定エリア・許可された時間帯を守ること、ライセンスを受けた目的以外で飛ばさないこと。違反には法的措置を取るとしています
- 旅行者に適用されるか:公式発表には明記がなく、現時点では公式情報で確認できていません
- ドローンの持ち込みに許可が必要か:旅行者の持ち込みについて定めた公式の記載は確認できていません(関連する法律の存在は後述)
- 編集部の見解:上記のとおり旅行者向けのルールが公式に確認できないため、旅行前に公式窓口で確認が取れない限り、ドローンは持って行かないのが最も安全な判断だと考えます。これは公式の規定ではなく、編集部の判断です
何が発表されたのか:2026年9月29日の内務省発表
現地紙The Peninsula Qatar、Qatar Tribune、そしてQCAAの公式サイトのニュースページが伝えた内容は次のとおりです。
- 内務省が、民間航空庁および関係当局と連携して発表
- ドローンは指定エリアで運用可能(エリアはMetrashアプリで確認)
- 運用可能な時間帯は「日の出〜午前9時」「午後2時〜日没」
- 指定エリア外での運用、または「ライセンスを受けた目的」以外での運用をしないよう呼びかけ
- 違反者には、適用される法令に従って必要な法的措置を取る
なお、発表日は報道では9月29日ですが、QCAA公式サイトのニュース欄では日付が「2026年9月30日」と表示されています。いずれも同じ発表を指しているとみられます(掲載日の差の理由は確認できていません)。QCAAの掲載文は「本日から有効」という趣旨の表現で、掲載日を基準にすると9月30日開始とも読めます。本記事では、9月29日からとする報道(The Peninsula Qatarなど)に沿って記載しています。なお、内務省公式サイトでの原文は編集部では直接確認できていません。
この発表には、登録手続き、ライセンスの取得方法、訪問者(旅行者)への扱いは書かれていません。QCAAサイトの同ニュースにも、登録手続きや訪問者向けの案内は記載がありませんでした。
背景:3月の「全面禁止」から部分的な緩和へ
今回の発表を理解するには、今年の経緯を押さえておく必要があります。
- 2026年3月:内務省が、国内でのドローンの使用・運用・発射を、種類や大きさを問わず禁止すると発表したと、アナドル通信(アラビア語版、3月2日付)が報じました。報道によると、期限は「追って通知するまで」で、趣味・商用・軍事用の区別なく適用され、地域情勢の緊迫化を受けた措置だったとされています
- 2026年7月:ドローンを包括的に規制する「2026年第10号法(無人航空機の規制に関する法律)」が官報(2026年第12号)に掲載されたと、The Peninsula Qatar・Qatar Tribuneなど現地紙が報じました。QCAAの公式サイトには法律本文のPDFが掲載されています
- 2026年9月29日:指定エリア・時間帯を限定して飛行を認める今回の発表
今回の発表が、3月の全面禁止措置をどう位置づけているか(全面的に解除したのか、条件付きで緩和したのか)について、発表文の中に明確な説明はありません。Khaleej Times(ロイター通信を引用)などは、「3月の全国的な禁止の後に、指定エリアでの飛行を認めた」という流れで伝えていますが、公式文書で確認できているのは今回の発表内容の範囲に限られます。
飛行できる時間帯
飛行できるのは次の2つの時間帯だけです。
- 日の出から午前9時まで
- 午後2時から日没まで
日の出・日没の時刻は季節や日によって変わります。発表では具体的な時刻は示されていません。また、午前9時・午後2時が現地時間を指すとみられますが、発表文にその明記はありません。ちなみにカタールと日本の時差は6時間(日本のほうが進んでいます)なので、日本時間で考えないように注意が必要です。
「指定エリア」と Metrash アプリ
飛行が認められる場所は、Metrashアプリで確認できると説明されています。ここで、旅行者にとって気になる点が2つあります。
- MetrashはApp Storeで、カタールの市民・居住者向けのアプリとして紹介されています。紹介文では「Citizens & Residents of Qatar」向けのサービスとされています。旅行者がこのアプリで指定エリアを確認できるかどうかは、確認できていません
- App Storeの紹介文には、ドローン関連の機能についての記載は見当たりませんでした。指定エリアがアプリ内のどこで確認できるのか(地図機能なのか等)も、公式発表には書かれていません
対応言語は、App Storeの表示で「アラビア語・英語・フランス語・スペイン語・ヒンディー語・ウルドゥー語」の6言語です。日本語は含まれていません(アプリ内での実際の言語設定は確認していません)。
空港・市街地・観光地などで飛ばせるかどうかについても、公式発表には場所ごとの可否は書かれていません。参考として、QCAAによる新法の説明会について伝えた2026年8月20日付のThe Peninsula Qatarは、「商業空港周辺、人口密集地、重要な国家施設、重要インフラ周辺は飛行禁止区域が設けられる」という趣旨を伝えています。ただし、これは新法の枠組みの紹介であり、具体的にどの地域が指定エリアなのかは示されていません。ハマド国際空港周辺、ドーハ中心部、観光地で飛ばせるかは、現時点では確認できていません。
登録・ライセンス・許可:公式ページでわかること
2026年第10号法(ドローン規制法)
現地報道によると、この法律は、QCAAがドローンに関するライセンス・運用許可の発行、使用できる機種の決定、運用エリアや最大飛行高度の指定、輸出入の規制などを担うと定めています(The Peninsula Qatar 2026年7月19日の報道)。また、対象となるドローンの登録も義務とされています(同7月30日の報道)。
ただし、具体的な手続きを定める施行細則(実施規則)は、QCAAが公式チャンネルで公表するとされており、本記事の作成時点では、旅行者向けの手続きが公表されているかどうかは確認できていません。QCAAの法律PDF(アラビア語)は、編集部の環境では文字を機械的に読み取れなかったため、本記事の法律に関する説明は、報道機関の記事をもとにしています。
QCAAの「Unmanned Aircraft」ページ
QCAA公式サイトの無人航空機(UA/Drones)のページでは、次の点が確認できます。
- 運用は18歳以上が対象
- 企業が登録する場合は、カタールで登録された企業であることが必要
- 上限は「1エンティティ(entity。事業者など)あたり最大5機」と記載
- 機体の改造や、何かを取り付けることは禁止
- 運用前に保険証券の提出が必要
このページでは、個人・居住者・訪問者それぞれの扱いや、輸入に関する手続き、料金は説明されていません。外国人旅行者が登録やライセンスを取れるのか、そもそも必要なのかは、このページからは確認できません。
趣味目的の場合
QCAAのFAQには、個人や愛好家がラジコン機やドローンを飛ばす場合は、ライセンスを取得したうえで「Qatar R/C Sport Center」を通じて機体を登録する必要がある、という趣旨の説明があります(FAQには別項目で、250グラムを超える機体について、Qatar RC Sports Centerへのライセンス申請・趣味運用ライセンスの取得・機体登録という手順も記載されています)。ただし、この説明の掲載時期は確認できておらず、新法や今回の発表後も同じ運用かどうかは確認できていません。
罰則:報道されている内容
新法の罰則について、Qatar TribuneとThe Peninsula Qatarは次のように報じています。
- 重大な違反:最長7年の禁錮、最高30万カタール・リヤル(QAR)の罰金、またはその両方
- その他の違反:最高20万QARの罰金
- 違反に使われたドローンや機材は没収される
- 行政上の措置として、警告、ライセンス・許可の停止、事業所の閉鎖など
これらは新法の一般的な罰則であり、旅行者が今回の時間帯・エリアのルールに違反した場合に、具体的にどの罰則が適用されるのかは確認できていません。罰則の内容が重いと報じられている以上、「知らなかった」では済まない可能性があると編集部は考えます(編集部の見解)。
ドローンの持ち込みには許可が必要?
旅行者にとって最も気になる点ですが、旅行者が国外からドローンを持ち込む場合のルールを明確に定めた公式の記載は、確認できませんでした。確認できた範囲は次のとおりです。
- 新法では、QCAAがドローンの輸出入を規制する権限を持つと報じられています(The Peninsula Qatar、Gulf Times)。Gulf Timesは、輸出入に関する規則は今後導入されると伝えています
- QCAA公式サイトのUAページ・FAQには、旅行者の持ち込みに関する案内は掲載されていません
- カタール税関総局のサイト(トップページ、空港税関の案内、禁止品目の一覧)を確認しましたが、ドローンに関する記載は見つかりませんでした
- ハマド国際空港の「Security & Customs」ページに掲載された禁止品目(武器、酒類、豚肉製品、麻薬など)にも、ドローンの記載はありません
なお、旅行ブログなどの民間サイトには「旅行者は持ち込めない」「空港で没収される」と書かれたものがありますが、政府機関や空港の公式情報では確認できていません。本記事ではこれらの民間サイトの記述は根拠にしていません。一方で、「民間サイトに書かれていることが公式に確認できない」ことは、「持ち込んでも問題ない」ことを意味しません。
日本人旅行者が特に注意したいこと
1. 公式窓口に確認できない限り、持って行かない
許可の要否・没収の可能性・罰則の適用が公式に確認できない以上、空港で預け荷物や手荷物を開けられたときのリスクは読めません。確認が取れるまでは持参しないのが現実的な選択肢です(編集部の見解)。
2. どうしても持って行きたい場合は、旅行前に公式窓口へ
QCAAのUnmanned Aircraftページには、ドローン関連の問い合わせ先として次の連絡先が掲載されています(2026年9月30日時点)。
- メール:UAS@caa.gov.qa
- 電話:+974 4455 7229
英語での問い合わせが必要になりますが、「外国人旅行者が、日本から持参したドローンを一時的に持ち込み・使用できるか」を書面(メール)で確認し、回答を保存しておくと安心です。在カタール日本国大使館に問い合わせる方法もありますが、ドローンの個別の相談に対応してもらえるかは確認していません。
3. 撮影禁止区域に注意
外務省海外安全ホームページのカタール安全対策基礎データでは、撮影禁止区域や軍・警察が警戒にあたっている区域では、カメラを持っているだけで没収され、警察に連行されることもあるため注意が必要、という趣旨の注意喚起がされています。同ページにドローンに関する記載はありませんが、軍事施設・警察施設・空港・首長府その他政府関係施設の撮影は特別の許可がない限り禁じられているとされています。ドローンで撮影する場合も同様の注意が必要だと考えられます(編集部の見解)。
4. 航空会社の手荷物ルールも確認
ドローン本体とは別に、バッテリー(リチウムイオン電池)は航空会社ごとに持ち込み・預け入れの規定があります。カタール航空の「危険物に関する制限」のページであらかじめ確認しておきましょう。
5. ルールが動いている最中であることを前提に
3月の全面禁止、7月の新法、9月の部分的な緩和と、今年はルールが短期間で変わっています。旅行の直前にあらためて、内務省・QCAAの最新情報を確認してください。入国全般のルールは、別記事の「日本人のカタール入国条件と必要書類」で整理しています。
よくある質問
Q1. カタールにドローンを持って行って大丈夫ですか?
現時点では公式情報で確認できていません。旅行者の持ち込みに関する公式の案内は、内務省・QCAA・税関・空港のいずれのページでも見つかりませんでした。旅行前にQCAAへ問い合わせるか、持参しないことをおすすめします(編集部の見解)。
Q2. 旅行者でも、指定エリアで飛ばせますか?
今回の発表には、旅行者が対象かどうかの記載がありません。「ライセンスを受けた目的」という表現があるため、許可を受けた人が対象と読めます(編集部の解釈です)が、旅行者が許可を得られるのかは確認できていません。
Q3. 飛ばせる時間は?
日の出から午前9時まで、午後2時から日没までの1日2回です。
Q4. 指定エリアはどこで確認できますか?
内務省はMetrashアプリで確認できると説明しています。ただしMetrashは市民・居住者向けのアプリで、旅行者が利用できるかは確認できていません。
Q5. ドローンの登録やライセンスは外国人にも必要ですか?
新法では登録が義務とされていますが、外国人旅行者への適用や手続きは、公式情報で確認できていません。QCAAの登録案内は、18歳以上、カタール登録企業などを前提にした内容です。
Q6. 空港・市街地・観光地で飛ばせますか?
場所ごとの可否は、発表では示されていません。報道では、商業空港周辺や人口密集地などに飛行禁止区域が設けられると伝えられていますが、具体的な区域は確認できていません。
Q7. 違反するとどうなりますか?
新法の一般的な罰則として、最長7年の禁錮や最高30万QARの罰金、機材の没収などが報じられています。旅行者への適用の詳細は確認できていません。
まとめ
- 内務省は2026年9月29日、指定エリアで、日の出〜午前9時と午後2時〜日没の2つの時間帯に限り、ドローン飛行を認めると発表
- 指定エリアはMetrashアプリで確認する仕組みだが、旅行者が使えるかは未確認
- 旅行者への適用、持ち込みの許可、外国人の登録・ライセンス、空港・市街地・観光地での可否は、現時点では公式情報で確認できていない
- 罰則は重いと報じられている。旅行前に公式窓口で確認できない限り、持って行かないのが安全(編集部の見解)
この記事の内容は2026年9月30日時点の情報です。規制は今後変わる可能性があるため、旅行前に最新情報をご確認ください。
情報源
- The Peninsula Qatar「Interior Ministry says unmanned aerial vehicles (drones) to be permitted in designated areas」(2026年9月29日)
- Qatar Tribune「Qatar permits drone operations in designated areas」
- カタール民間航空庁(QCAA)公式サイトに掲載された内務省発表「Ministry of Interior announces use of unmanned aerial vehicles (drones) permitted in designated areas」
- QCAA「Unmanned Aircraft」ページ
- QCAA FAQ
- QCAA「Regulation of Unmanned Aircraft」(2026年第10号法 PDF掲載ページ)
- The Peninsula Qatar「Qatar issues law regarding unmanned aerial vehicles (drone) regulation」(2026年7月19日)
- The Peninsula Qatar「Civil Aviation Authority explains key provisions of new law regulating drones」(2026年7月30日)
- The Peninsula Qatar「Qatar modernises airspace management with comprehensive new drone regulations」(2026年8月20日)
- Qatar Tribune「Qatar’s new drone law imposes jail terms, fines of up to QR300,000 for violations」
- Gulf Times「Qatar regulates drone operations under new law」
- Khaleej Times「Qatar to allow use of drones in designated areas during certain times」(2026年9月30日、ロイター通信を引用)
- アナドル通信(アラビア語)「قطر تحظر استخدام الطائرات المسيرة بكل تقنياتها」(2026年3月)
- App Store「METRASH」(カタール内務省)
- 外務省 海外安全ホームページ「カタール安全対策基礎データ」
- カタール航空「Restrictions on dangerous goods」



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